EAT Café について

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"個"の時代からプロジェクトベースの時代へ。ゲストスピーカー 『HanaLab.』井上 拓磨さん

“コワーキング”という働きかたが、いま注目集めている。それは作業場やミーティングスペースなどを共有しながら、コミュニティをベースに参加者どうしが共働するワークスタイルのこと。EAT Cafeの記念すべき第一回は、長野県上田市でコワーキングスペース『HanaLab.(ハナラボ)』を運営する井上 拓磨(いのうえ たくま)さんをお招きして、また地方でのコワーキングスペースの役割などをうかがった。
HanaLab.:http://hanalab.co/index.php

何かに挑戦したいと思った人を応援したい

『HanaLab.』を始めたのは、人と人が出会えるネットワークがつくりたい、また何かを始めたいという人が出てきたとき、応援する場所があればと考えたのがきっかけ、と井上さんは語る。「上田市は長野県の第三都市です。16万人くらいの規模ですが、とても職のネットワークが少ない。そんな環境にいて、どんどん時代の流れが早くなっていくなかで、個人の能力だけでそれについていくのは大変だと感じました」

都会と地方ではモデルケースが異なる

コワーキングスペース『HanaLab.』の利用者は実に多種多様だ。農家、ライター、市役所職員、プロカメラマンなどがジャンルにとらわれない新しいアイディアや情報を共有することで、いろいろなコラボレーションが生まれている。彼らがそれぞれの武器を活かしてつくり上げた一例に『東信州のギフト』(http://gift.jimo.co.jp/)というプロジェクトがある。これは地元の生産者と生産品が描かれた12枚セットのギフトカードで、それを受け取った人が好みの商品を選ぶと、旬な時期に生産者から直接送られてくるというサービスだ。カードには世代を超えた生産者2人のすこし照れくさそうに、はにかむ写真と二人の対話が記されている。農家が生産した野菜や果物などを、カメラマンが写し、ライターが生産者のインタビューを行なう。生産現場に近いからこそリアリティのある、地方ならではのコワーキングの事例といえる。

コワーキングのモデルは地域によって異なる、との話も。「都会モデルと地方モデルのコワーキングは違うと感じています。都会モデルの場合はすごく魅力的なスペースをつくってうまく発信してやれば、ある程度の人は集まると思います。むしろ、あまりコミュニティを前面に押しすぎると、敬遠するんじゃないでしょうか。地方の場合は逆で、いくら魅力的な場所をつくってもそれだけでは難しい。コミュニティが先行して"場"ができてくる感じですね」

コワーキングビジネスの課題点

現在、コワーキングビジネスは大きな盛り上がりを見せている。2012年の夏には、世界20カ所以上のフランチャイズを持つロンドン発祥のコワーキングスペース『THE HUB(ザ・ハブ)』も日本上陸を予定。その形態も数パターンあり、一杯ドリンクを頼めばオーケーという「カフェ方式」や、企業がスペースを解放しているタイプ、単独で運営しているタイプなどさまざまだ。

井上氏井上拓磨さん

『HanaLab.』をスタートさせて約半年、コワーキングスペースのシステム面での問題も浮き彫りになってきたという。

「コワーキングはもともと人材の流動化をさせようとして始まっているはずなのですが、スペースにおいてコミュニティが重要になるほど、それが固定化されてしまう。それでは会社組織と一緒じゃないか、ということがコワーキングの危険性として語られている部分です。そこをどのようにクリアするかが次のステップへ進めるカギになると思います。しかし、流動化することで今度はコワーキングスペースの運営がビジネスとして成り立たなくなるという問題点も出てきます」井上さんは、企業の介入、ということがキーポイントになるのではないか、と考える。

「人材がいろいろいて面白い、若い層と知り合えるなどコワーキングと繋がることは企業にとっても魅力的なはずです。そうした組織が何らかの形でスペースにコミットすることで、利用者側にも仕事が生まれやすいなどのメリットが出てくる。今後の課題のひとつだと思います」

コワーキングは時代が生んだ新しい働きかた

現在、世界の企業はいろいろな形態をとっている。多様化してさまざまな組織が成り立つようになってきた。コワーキングという働きかたは、そのなかのひとつとして時代が生んだものだ、と井上さんは最後に語った。

「いま人は、自我の欲求から自己実現に向けて、お金と時間、労力を使って動いていて、そうした"個"の時代から、その先はプロジェクトベースの時代になっていくのでは、という考えがあります。組織ありきではなく、プロジェクトに対して個人を求める時代。そうした時代になったときにどんな働きかたがあるのか、ということに対する挑戦としてコワーキングが出てきたのではないかと。コワーキングがこれからやってくる時代に、はたして合っているのかはまだ誰にもわかりません。ただ、"個"が有機的に繋がるという新しい形は、それを見出せる糸口にはなるのではなでしょうか」

全国のコワーキングスペース

「コワーキングスペース」とは、机、会議室、インターネット、電源、ファックスなどを備える施設で、各個人が独立して働きながら、相互にアイディアや情報を交換し、オフィス環境を共有することで生まれる相乗効果を目指すコミュニティ・スペース。現在、世界全体では1000カ所以上のコワーキングスペースがあると言われ、日本でもその数は日々増えています。2012年の夏には、世界20カ所以上のフランチャイズを持つロンドン発祥のコワーキングスペース「THE HUB(ザ・ハブ)」も日本上陸し、これからますます盛り上がりを見せていきそうです。

日本全国のコワーキングスペースをまとめたサイトはこちら。
コワーキングスペース.jphttp://coworking-space.jp/

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