いま、わたしたちの働きかたが大きく変わりつつある。
組織型からプロジェクト型へ。しっかりと専門領域を持った個人の存在がこれから社会を変えていく。それに対して、いまだ社会制度の仕組みは変わらないまま…。フリーの人間がどのように成長するべきか、また出産や子育てなどを経験する女性のフリーランサーがどのように守られるべきか、第3回EAT Caféは女性フリーランスをつなぐコミュニティサイト『Rhythmoon(リズムーン)』を運営し、代表も務める小野梨奈(オノリナ)さんをゲストスピーカーに迎えディスカッションした。今回はレジュメ形式で、その様子をリポート!
ライフイベントによって女性のキャリア形成は影響を受ける
- 育児と仕事の両立の壁。子育てするか、働くか。2つの選択肢しかないのが社会的問題。女性はライフスタイルに合わせて働きかたを自由に変えられなければ。それはフリーランスが理想的な働きかた。
- 女性のなかではまだまだ認知度の低いフリーランスという働きかたのノウハウは共有されていない。
- 日本の制度は会社員が優遇される。個人に対して保障がない。「個人事業主」のための産休制度がない!子供を産んだとき、働く気はあってもあずける場所がない。申請しても託児所に空きがない。→働く意志なしと国が判断。
- 会社員だと「育休中」の紙を国に提出すればOK。そのためだけでも会社化する意味はあるのかも。
- 子育てや親の面倒など、女性のほうが多様な生きかたをする。かたよりのないリスクを分散させるバランスのよい夫婦がほどよい自由さでは?夫:会社員 + 妻:フリーランス=夫婦など。
「フリーランス」という生きかたを貫くために
- フリーランスで働く人たちがスキルアップできる場をつくらねば、いつまでたってもまともなスキルが身につけられない!
- 50代のフリーランサーがワーキングプアになっている。新しいスキルが身につかない。ボーっとしている人にはそうした将来が待っている可能性がある。それを防ぐには、プロジェクトベースになっていく時代のなかで自分の専門領域をしっかり広げていくことが大事。
- いまは、なりたい自分になるためにどうするかをセルフプロデュースする時代。
- フリーかどうかはあくまでスタイル。大事なことは「自分になにができるのか。どれだけのスキルがあるのか」
社会制度は企業にやさしく個人にきびしい
- 社会がいろいろな働きかたを認め、その人らしくいるために公平な社会的インフラが必要。
- 現在の就活は偽善のぶつかり合い。騙し合い。起業するという選択肢もあるのに。
- イタリアでは雇用した側が社会保障費の4%を保証しなければならない。フリーランスに対してしっかりしている。いっぽう日本では子育て支援なども声ばかりで機能していない!
働くということの再構築を
- これからはプロジェクトベース。1~10年のスパンのなかでフリーランスが集まって目標に向かっていく仕組みが大事。
- 「個」が働けるプロジェクト主体の時代にあって、もういちどフリーランスの働きかたというのを定義し直す必要がある。
- 受動的にフリーランスになった人が増えているいま、その成長モデルが描きにくいのでは?企業に属している場合も含め、自己育成のプログラムをだれからも教えられていない。
- 個人が必要に応じてネットワークをつくり、企業なみの組織をつくれる環境が出来上がりつつある。ただし組織になると組織保存本能が働く。愛社精神的なものが度を超すとそのなかでしか動けなくなってしまう。
- 生活のインフラが安定している地方に住むフリーランスとのつながりを持つことで、働きかたの多様性を広げることができる。彼らの仕事はクオリティーが高く、スピーディ。そして安い。
必要なのはフリーランサー育成プログラム
- 徒弟制度のマッチングができればいろいろ学べる。その人に付きたければ弟子がお金を払うなど。
- フリーは自分がエッジにいるのか底辺なのか、自己判断しにくい。たとえばそれを添削型のカルキュラムなどで判断したり、自分が行きたい方向に行くための学習をする仕組みが必要。
- フリーランスをちゃんとした仕組みにしたい。それこそ就職するというのと同じくらいのクオリティーに。そのために5%のフリーランス税をつくって、フリーランスのためのインフラ整備をやっていくとか。
こうして、フリーランスとして働く女性の視点が覗ける貴重な会になった第3回EAT Café。
これからの小野さんの動向に注目したい。
小野 梨奈(オノリナ)
Rhythmoonプロジェクト発起人、代表。Webプロデューサー。
1977年北海道函館市生まれ。働く女性のためのWebメディア「cafeglobe.com」でコンテンツ企画・編集に携わった後、2006年に独立。2008年にmixiで「フリーランスで働く母」コミュニティをスタートし、そのキャリアを活かし2009年よりRhythmoonプロジェクトをスタート。現在は、WebサイトやWebコンテンツの企画・制作・ディレクションを行うプロデュースを個人で活動しながらも、仕事の領域を広げるワークシフトを提案するワークショップ「働き方改革研究所」の副代表なども務める。
Rhythmoonとは?
いろいろなライフステージに合わせて働きかたを柔軟に変えることのできる「フリーランス」というワークスタイルに関する情報を女性目線で発信。フリーランスに役立つインタビューやコラムを月のリズムに合わせて更新しているほか、イベントやフリーランス交流会も開催している。
http://www.rhythmoon.com/